病院でカイトを引き取り、急いでリルの待つ我が家に帰ります。
お昼寝から目覚めてしまっていたリルはひとりで鳴いていた様で、疲れた顔をしてダイニングテーブルの上に座っていました。
「リル、カイちゃん帰って来たぞ!」と声をかけながらカイトをキャリーから解放!!
カッポン
カイトの登場と共にこだまするエリザベスカラーが床にぶつかる音。
リルの顔色がサッと変わりました。
あ・・・
カッポ、カッポ・・・(カイトが歩いた)
ガッ(椅子にぶつかった)
その時点でリルは目をひんむき、超警戒モードで物陰に隠れました。
「リル?カイトやで?なんで隠れるん?」と声をかけますが、リルの目は得体の知れない魔物を見る目に変わっています。
まさか、病院の匂いが付いた挙句、見た事もない物体を頭に付けている事からリルはカイトを認識できないのか・・・
予想的中の様でその後、リルはカイトから逃げ惑い怯えまくり、とうとうこの日は同じ空間で過ごす事がありませんでした。
あんなに慕っていたのに。
あんなに仲が良かったのに。
カイトはリルのママ代わりだったのに、ほんの少しの変化でこうも変わってしまうものなのか。
リル、薄情なやつだ。
もし逆の立場ならカイトはきっと逃げたりしないでリルを変な物体から助けようとすると思うぞ。
わからんけど。
慣れない物が頭について動きづらいカイトは手術後でだるい様子。
元気なくうなだれて座ります。
でもお水はしっかり飲めたし、ペースト状のご飯をもりもり食べた後、カリカリも食べて食欲は旺盛。
それを見て安心しました。
普段と違うのは私や夫の傍で寝ようとする事。
本気で寝る時は猫部屋に引きこもる子なのに、病院でよほど怖かったのか、体が辛いから助けてほしいと思っているのか、リビングのホットカーペットの上で猫用トンネルに入って朝まで過ごしていました。(添い寝して朝まで見ていた)
カイトが寝始めて1時間くらいした頃、テント内でうずくまっていたカイトの両足がニューッと下から伸びて出て来たのを見て安心しました。
あれだけ伸びるという事はくつろいで眠れている様子。
その後、ご飯を食べに2階から降りて来たリルが、そーっと寝ているカイトの匂いを嗅ぎに近寄って来ましたが、それに気づいてカイトが顔を動かした所、トムとジェリーを思い出す様な動きで後ろ足を空回りさせながら逃げて行きました。
リル、薄情な子・・・。
カイトはそのままトンネルの中で眠り、明け方近くに出てきましたが私とトンネルの間に伸びてまた眠りました。
カイトと一緒に寝るのってこの子が来たばかりの頃以来かもしれない。
いつの間にか一緒に寝てくれなくなったな。
夜中に私か夫に蹴られたりしたんだろうな。
そんなことをグルグルと考えてしまいます。
カイトが来た日は嬉しかったなーとか、今日までの事を思い出すと胸が熱い。
猫飼いたいなーなんて言いながら夫とネットの里親情報を見たりしていたけど、初めてカイトを見た時ほど衝撃の走る出会いは今まで無かった。
運命とか馬鹿くさいけど運命だと思った。
そんなカイトと縁が切れない様に、いつかカイトとリルの間に子猫が生まれたらずーっと繋いでいくんだとか言っていたけど結局だめだった。
残念だ。
しかしカイトがいつか居なくなってしまうその日まで悔いの残らない様にめいっぱいかわいがろうじゃないですか。
今や子供の居ない自分にとっては子供の様な存在になってしまったカイトとリル。
この子たちが色々な事を幸せだと感じられる様に常識の範囲でどんな事でもやろうじゃないですか。
とか考えていたらろくに眠れなかった。
夫に猫バカ猫バカと言っていた自分でしたが今や立派な猫バカであります。
翌日、私は夫に猫達のお守りを任せて仕事へ。
リルの状態は変わらずカイトからひたすら逃げ惑っていたそうですが、昼間スマホで部屋に置いてる見守り用のカメラを見てみたらキャットタワーの上にリルが居て、床に置いてあるテントにカイトが入っている様子だったので昨日よりは衝撃が落ち着いた様子。
そういえばカイト帰宅後は寂しがって鳴く事も無くなりました。
パラボラアンテナみたいなのが付いた怪獣がカイトだという事は理解している様子。
ならもっと優しくしてあげてほしい。
カイトなんだか傷ついてる様に見えるから。
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