リルが肥大型心筋症

2日前の夜からリルがあまり遊ぼうとしなくなりました。おもちゃを見せてもだるそうに手でつつくだけです。

よく見れば呼吸が早く、胸ではなくお腹で息をしている様で、熱中症なのではと疑いました。でもお水も飲むし食欲もあるし耳も冷たくて熱はありません。

ただ呼吸が早いだけ。

1日様子を見ることにしましたが翌日も状態は改善していませんでした。病院が空いている時間に帰宅できず、夜が明けるのを待ちました。

今日はかかりつけの病院が午後からのみの診察だったので午前中は仕事に行き、午後帰宅すると相変わらずリルは辛そうです。食欲はあるけど浅く早い呼吸を繰り返し、だるそうにしています。

病院が開く時間を待って連れて行き、受付で事情を説明しました。熱中症でしょうかと聞きました。

診察室でリルはまず熱を測ると平熱だとわかり、次に肺の様子を調べるためにレントゲンを撮りに連れていかれました。戻ってきた先生は神妙な面持ちで心臓病の可能性が高いとおっしゃり、レントゲン写真を見ながら説明してくれました。

リルの肺には白いモヤがかかり、心臓が大きくなっているという説明です。

モヤは肺に水がたまっていることを示しているとのこと。

スコティッシュフォールドには骨の奇形をはじめとする疾患が多いことは承知していましたが、心臓病もそのひとつであることは知りませんでした。

俊敏で活発なリルがまさか心臓を患うなんて。

その時点では私は何も状況を飲み込めていませんでした。

心臓の状態をより詳しく診るためにエコーを使うということで準備する間、リルは慌ててキャリーケースの中に戻ろうと暴れ、それが叶わないと悟ると私のお腹に強く頭を押し付けて隠れました。

看護師さんと一緒に怖がりのリルをなだめながら大人しく検査を受けられるように声をかけました。
エコー検査の結果、心臓の壁は通常4mm以下なのだそうですが、リルの心臓は6mm以上になっていました。

「肥大型心筋症です」と言われました。

恐らく生まれつきの疾患でお薬なしの状態でがんばれる限界を迎えたのであろうこと。
1か月前に受けた避妊手術が引き金になったわけではないこと。
多くの心疾患は気付かれる事なく重篤化するため、このタイミングで気付けてよかったことなどが説明されました。

お薬で心臓の状態を補助し、肺に溜まった水は利尿作用のある注射で体外に排出するそうです。

私はここでようやく質問が思い浮かびました。
「これは、寿命にも影響する病気ですか?」

先生は暗い表情で「はい」と肯定しました。
ただし、お薬が合えばリルの頑張り次第でも変わってくるとおっしゃいましたが、私はそれを明るく捉えることが出来ず大変動揺してしまいました。

急変することも多く、病状が進めば突然死も起こりうるそうです。
お薬が合えば良いけれど、合わない場合はそう長くはないようです。

大切なリルが病気だったなんて。
これから先ずっとみんなで楽しく暮らしていくんだと思っていた。
いつかお別れする日は来るけど、それはまだまだ先だと思っていた。

部屋は涼しい温度を保ち、出来れば運動はさせない方が良いと言われて、遊ぶのが何より大好きなリルがもう飛んだり跳ねたり出来ないと思うととても可哀想です。
まだ4歳なんです。

説明を受け、肺の水を抜くための注射の準備をするために先生が部屋を一旦出る間、リルをキャリーケースに戻してあげました。怯えた様子です。
注射を打つ時は私が頭を両手で包んで撫で「リル、これが終わったらすぐ帰ろうね。もうちょっとね。」と声をかけます。
大人しくしてくれていました。

処方されたお薬の効き目を診るために次は3日後の日曜に診察を受けることになり、診察室を出ました。
待合室で会計を待つ間に先生が言った言葉を頭の中で思い返しながら、怖がっているリルをなだめていたら涙が落ちそうになった。
嫌だ。リルが側に居なくなるなんて耐えられない。
避妊手術の日、数時間居なかっただけで味わったあの空虚な気持ちが押し寄せてくる。

あんなにおもちゃで遊ぶのを毎日楽しみにしているこの子が今は苦しくて走り回れないなんてまだ信じられない。3日前まで元気に遊んでいたのに。

食欲がある。うんちも出る。綺麗に毛繕いもする。

考えれば考えるほど耐えられなくなって、帰りの車の中で泣いてしまったけど不安そうにこちらを見るリルに気付いて泣くのはやめた。

「リルがんばったね!パパとカイトが待ってるおうちに帰ろう!」
と、声をかけたらニャアと返事をしてくれた。

帰宅すると夫も仕事から帰ってきていて、病院どうだった?と聞かれた。
夫も私と同じく熱中症だと思っていたから伝えるのが辛い。
「心臓病だった。恐らく生まれついてのものでもう治らないと言われた。」と返事して、病院でのことを詳しく説明した。

お薬もずっと飲まなきゃいけない。もう激しい運動もさせられない。
いつ急変するかも進行によってはわからない。

あとどれだけ生きられるかわからないと言ったら、俺たちはリルを信じようと夫は言った。
自分たちが前向きにとらえなきゃ支えられるものも支えられないと。

そうだ現実を受け止めなきゃいけない。
私に出来ることは変わらない。2匹の命が終わるその日まで精一杯愛してかわいがって幸せな気持ちで毎日を過ごせる様にしてあげるんだ。

たくさん楽しい思い出を作って、いつか2匹が居なくなった時に、あの時はこうだったな、ああだったなって、思い出しては暖かい気持ちになれるように、後悔が残らない様に精一杯がんばるんだ。

リル、ママ飲みやすい様にお薬毎日工夫するから、リルの心臓も1日でも長く動いて。
リルが毎日幸せに暮らせる様に一緒にがんばろうね。と頭を撫でた。

その後、リルは先生が言っていた通り何度もトイレに行っておしっこを出し、その度に呼吸が少しずつ落ち着いて行って、翌朝にはかなり呼吸しやすそうになっていた。

夜のお薬は砕いてゼリーに混ぜ、朝のお薬は粗目に砕いてリルが好きな焼きかつおに挟んで食べさせた。
お薬が合うといいな。


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